女性患者に、安全かつ良質なロボット手術を提供できる、国内環境を整備する

日本婦人科ロボット手術学会
第二代理事長 小林裕明

この度、日本婦人科ロボット手術学会の理事長を拝命いたしました。本学会は本邦婦人科ロボット手術の草分け的存在であられる井坂惠一先生が2018年4月に前身の研究会から学会へと発展させたものです。初代の井坂理事長を引き継ぐにあたり、責任の重さを痛感しています。

2019年、本学会の命を受けて婦人科プロクター制度の確立に着手し、日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本婦人科腫瘍学会のご支援を得て、まさに"all Japan"の体制で、2020年4月よりプロクター制度を開始いたしました。「各学会間の橋渡しをしながら、女性患者に安全かつ良質なロボット手術を提供できる国内環境を整備する」という本学会のレーゾンデトールを示せた制度になったと思います。

婦人科ロボットを取り巻く環境が大きく変化する中、学会を新たな体制へ

現在、良性子宮腫瘍に対する子宮全摘出術、再発低リスク体癌根治術、性器脱に対する仙骨腟固定術の3術式がロボット手術として保険収載されていますが、ロボット本来の巧緻性、安全性をより発揮しうる高難度術式がまだ保険適用となっていません。加えて本年以降、新たなロボット機器が順次臨床の現場に現れてきますので、今後、婦人科ロボットを取り巻く環境は大きく変化します。そのような中、会員数も増えた本学会の事業を分業化する時期が来ていましたので、理事長への就任に際して、総務、会計、広報・渉外、学術、社保、教育・プロクター制度を担当頂く6名の常務理事を置いた新たな体制へ変更いたしました。

実践的な議論から有用なエビデンスを発出する学術集会へ

学術集会に関しては、記録に残しやすいというロボット手術の利点を生かしてビデオや写真を多く発表に盛り込んでいただき、年齢に関係なく参加した皆様が自由に討論できるプラットホームとしてより発展させたいと思います。若手からの発表も増えるように、次回からは優秀な若手の演題に対して学会賞(井坂賞)を授与することにしました。ロボットはチーム医療ですので、医師のみならず看護師や医療工学技士の方々も参加・発表していただき、実践的な議論から有用なエビデンスを発出する学術集会となることを願っています。

産婦人科医のリクルートにも寄与していく

本学会の活動目的は、患者様へ安全な婦人科ロボット手術を提供することを最優先として、医師・コメディカル同士の活発な意見交換や国外との連携、ロボット手術習得を希望する若手医師に対する包括的教育などを提供することです。最後に関しては、"産婦人科医になれば若いうちからロボット手術がマスターでき、自信をもって執刀できる"という評判を定着させて産婦人科医のリクルートにも寄与できればと考えています。

以上の抱負を胸に今後は、常務理事、理事、監事、幹事、名誉理事長、名誉会員はもとより、会員の皆様と力を合わせて本学会の発展に最善を尽くす所存です。ご指導、ご協力を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。